総評
とうとう女子の総合優勝が現実となりました。うれしいのひと言です。
2010年から女子総合優勝が狙えるポジションに到達し、優勝争いをするものの僅かの差で破れてきた悔しさがあったので、崖っぷちの思いで臨んだインカレ。
今年は年初から気持ちと勢いが違いました。
女子だけの合宿や練習を多く導入し、女子チームとしての自立化の一歩を踏み出したシーズンでした。選手個人の努力とチーム内での競争原理が奏功し、普段の勢いそのままにインカレでパフォーマンスを発揮してくれました。
最良のシナリオはアルペン陣でトップに立つ、最悪のシナリオではアルペンで首位校と20点以内差を想定して臨んだので、想定の範囲内でクロスカントリー陣に引継ぎができました。クロスカントリー陣はアルペンからの勢いをしっかり受け止め、全員が圧倒的なパフォーマンスを発揮、最終日のリレーも制し、総合優勝に華を添えてくれました。
男子は、悔しい準優勝。主力3選手をワールドカップ等国際大会で欠き、当初から厳しい戦いを予測していました。それでも、世界で戦う選手がいる一方で、主力不在でも勝つのが早稲田であり、選手も同じ考えのもと精一杯インカレを戦いました。結果として、アルペンで首位校と40点以上のビハインドが響き、一歩及ばずの結果となりました。
事前シミュレーションでは、アルペン競技では2校で分け、いずれにしても25~30点以内のビハインドでノルディック競技につなげて逆転するるという展開を想定していましたが、ここまで差をつけられては他大のアルペン選手を称えるしかありません。
しかしながら、男子の負けにはそれなりのマイナス理由があるはず。甘く見すぎていなかったか。
たかがインカレ、されどインカレ。今一度、原点に立ち返り、スクラップ&ビルドする必要がありそうです。
試合概況(女子)
<アルペン>
Sでは、1本目、LAPの向川(2年)、3位眞田(2年)、6位長田(4年)が、インカレをインカレととらえず普段のレースそのままにゴールに滑り込んできました。1・2フィニッシュの予感を感じさせるものでした。2本目、向川は惜しくも3ヶ所で失敗、頭を狙っていただけに悔しい6位。フルアタックしてきた眞田が見事に初タイトルを手にしました。長田は失敗したものの10位入賞、11位と僅か0.01秒差をモノにして粘り強さをみせてくれました。
SLでは、7位後藤(2年)、10位長田でした。
1月のチャンピオン大会ではこの種目圧倒的な入賞数を挙げた早稲田女子でしたが、この日は今ひとつ。
頼みの眞田は1本目DNF、後藤は自分の滑りができないまま2本目を終わったものの、どうにか入賞。
入賞数1かと思いきや、またしても長田が10位に入賞。11位とはGSと同じ0.01秒差。結果論ですが、これが4年の意地・ワセジョのマインドなのかと思えるほどでした。
ルペン競技での総得点は22点。目標としては40~50点を目論んでいましたが。
首位校とは17点差の2位、3位校とは12.5点の勝ち、それでも想定内でした。
それにしても、アルペン陣はどんな状況でも明るく、勢いを感じました。単に、種目特性という言葉で終わらせるようなものではなく、出場した選手・サポートに回った選手全員がレースをしている空気感があったので、運も見方にして、流れは我にありという状況になりました。アルペン競技での総得点は22点。目標としては40~50点を目論んでいましたが。
<クロスカントリー>
スプリントでは、なんと表彰台独占。加えて、優勝 古谷(3年)、2位 横川(3年)、3位 五十嵐(1年)、6位 柳館(4年)、9位本山(3年)と、出場した5選手全員が入賞。入賞者のうち半分がエンジ、早稲田の独壇場でした。まさにアルペン陣の勢いを引き継いだという感じでした。
クォータファイナルでは予選ダントツトップの古谷が同組の五十嵐を前に出し、ラッキールーザーを狙う滑りをしたり、どの選手も冷静にレースを組み立てました。1年の五十嵐、3年横川の表彰台は大きな収穫となり、この時点で、早稲田が首位に立ちました。
5kmクラシカルでは、前日深夜にU23世界選手権(トルコ)から帰国して合流した柏原(3年)が2位古谷に31.3秒の差をつけて優勝。疲労とプレッシャーの中、帰国直後のレースでの優勝は賞賛に値します。
続けとばかりに、2位 古谷、4位 柳館、6位 本山と4選手が入賞し、連日の大量得点で、勢いは最高潮に達しました。女子の総合優勝が確定した瞬間です。
この日の晩、女子全員が再度、意志結集し、リレー勝利を誓い合っていました。
最終日、リレー。
最悪のシナリオは1走で5~10秒の負け、それも想定内。1走 柳館、スタート前にスキーの選択をギリギリまで迷い、ハラハラしましたが、トップとほぼ同時+1.1秒差。2走 古谷はすぐにトップに立ち、区間LAPタイムで48秒差で中継。
3走 柏原も区間LAPタイム、最後は2位を1分22秒差まで引き離し、ダントツのゴール。4年ぶり3回目のリレー制覇で彬子女王牌を手中にしました。
リレーも制したことで、女子5種目中4種目を制したことになり、圧倒的勝利で総合優勝を勝ち取りました。
今、思うと、早稲田女子がチームとして本格的に戦うようになったのは2004年のインカレから。
当時の女子は、アルペン奥井迪(当時4年)・クロスカントリー大類美咲(当時1年)・クロスカントリー畔上尚子(当時1年)の3選手のみ。3人で全種目優勝、2部総合優勝し、早稲田女子を1部に引き上げてからのスタートでした。歴代の多くの女子部員の努力と熱い想いが土台になっています。
今回のインカレで、選手たちは、頭は冷静に、ハートは熱く、粘り強く戦って、"なでしこ早稲田"を強く印象づけました。選手よりも、応援していただいた部長先生、OBの皆さんの興奮冷めやらぬといった様子が印象的でした。
試合概況(男子)
<アルペン>
GSでは、1本目、井上(2年)がLAPタイム、河野(2年)が8位、波多(4年)はDNF。
井上の優勝と河野の上位入賞が期待されました。2本目、井上は優勝を意識したのか力んで7位入賞、河野も出し切れずギリギリの10位入賞でした。力のある2選手だけに、チャンスを逃したという悔しい結果となりました。一方で、東海大が表彰台独占。得点はバラけることなく1校に集中してしまいました。
SLでは、井上・長沢(1年)・波多が1本目でDNF。
途棄した井上や波多がコース上でうなだれていた姿が痛いほどでした。
早稲田としては後がない状況に追い込まれた感がありました。1人、気をはいて2本目で挽回した河野が5位と唯一の入賞。ライバル校は順当に入賞を重ね、この時点で、トップ東海大がアルペンで大量得点の54点となり、早稲田は43点ものビハインドを背負ってしまいました。
ただ、早稲田アルペン陣は意識高く戦いました。そのことはしっかり伝わってきましたが、アルペンでは負けです。
<コンバインド>
渡部善(2年)をワールドカップで欠き、早稲田唯一の出場となった片桐(3年)。
前半ジャンプでは6位につけ、後半クロスカントリーはトップから1分15秒差でのスタートとから、LAPタイムで粘りに粘って走りきり2位でゴール。トップを23.4秒まで追い上げました。昨年までの早稲田は層の厚いコンバインドチームでしたが、今回は片桐1人でワセダを背負って戦いました。プレッシャーも大きかったと思いますが、その中で2位に入ったことは早稲田にとって大きな価値がありました。
<スペシャルジャンプ>
スペシャルジャンプ(ノーマルヒル)は、早稲田唯一のスペシャルジャンパー原田(3年)とコンバインド片桐が出場。
片桐は1本目71.5m、2本目71.0mの飛距離でしたが、僅か0.5ポイント差で入賞を逃し惜しくも11位。
原田は最低でも表彰台を期待されましたが、1本目76.0m、2本目77.0mと伸ばせずに7位入賞。
入賞したこと自体は評価しますが、スペシャルジャンパーでありながらコンバインド選手に負け、2部の選手にも負けて、結果として残念な試合をしてしまいました。
<クロスカントリー>
スプリントでは、U23世界選手権で主力選手不在の中、このレースが男子総合優勝のカギと位置づけていました。
予選は小山内(4年)が2位、米倉(4年)が3位、藤田(1年)が9位、のほか全員通過。 しかしながら、クォータファイナルでケアレスミスにより2選手が敗退し、予選通過上位の3選手に重圧がかかる結果となりました。結果、A決勝に進んだのは小山内のみ、前に出て健闘するも、スキーが滑らず4位に甘んじてしまいました。B決勝の米倉は9位入賞、藤田は惜しくも11位。
このレースでこそ、全選手のパフォーマンスを出し切らずして総合優勝はないという意気込みでしたが、全体としては情けないとしか言いようのない結果で残念でした。
10kmクラシカルでは、前日深夜にU23世界選手権から帰国、合流したレンティング(3年)が疲労とプレッシャーをものともせず優勝。2位に28秒ほどの大差での優勝、大したものです。
3位にはスプリントでの失敗を挽回するかのごとく力走した西田(2年)が、8位に小山内、9位に米倉がそれぞれ入りました。期待するまでの得点には届かなかったものの、4選手が入賞し、早稲田らしいレースをしてくれました。とりわけ、小山内・米倉の4年生は後半5kmを粘って連日しぶとく下位入賞し、粘り強さを背中でみせ、エンジ力を鼓舞してくれました。
最終日、リレーでは満を持して狙いました。意地以外の何ものでもありません。
1走 西田は5km過ぎから前に出て区間LAP、48秒でトップ。2走 レンティングも区間LAPで1分42秒差。3走 小山内は18秒貯金を食いつぶすも1分24秒差。4走 宮沢は区間LAPの快走。帰国直後の体調不良で1日休養しての登場、最後は3分13秒差でゴール。
横綱レースでリレー4連覇を達成。4連覇は1920年以来の快挙だとか。
勝ちに不思議な勝ちはあるが、負けに不思議な負けはない とはよく言ったもの。
その通りだと思います。全員で一枚岩になって戦っても、そこに至るまでの過程のどこかに安易さがあったのではなかろうか。
支え
選手を支えていただいた皆さんに感謝いたします。
ありがとうございました。
クロスカントリー、コンバインドのWAXサポート。
藤田(善)コーチと藤田(紘)OB、そして畠山長太OB。
また、アルペンとクロスカントリーで出場機会のなかった部員のサポート。出場した選手には大きな支えになったはず。
いつも遠くの試合会場まで足を運んでいただき、熱く応援。OBの先輩方、宮内先生、奥様、長瀬さんご夫妻。八幡平会場の地元役員からは、「早稲田の白軍団」と呼ばれ、名物になっていました。そして、保護者の皆さま、校友の皆さま、大学教職員の皆さまにも感謝したいです。
早稲田のエンジを身につけ、戦った選手。
みんなが悩みながら、勝利に向かって努力してきました。とりわけ、4年生にお疲れ様と言ってあげたい。
2012年度、新しいチームで来年のインカレに向けて早い段階から準備を整えたい。
そして、インカレで勝ち、それぞれの目標に向かって貪欲に上を目指せるようにしたい...
我々には、早稲田の血が流れている。